もり散歩
コロナの影響で学会や会議の出張が無くなり、盛岡で過ごす時間が増えました。会食の激減は飲酒機会を減らすことになり、身体に悪くないのですが、密閉空間でのエクササイズを断念したこともあり、運動不足解消が課題となりました。もともとランニングは大嫌いで、地道に運動を続けるのも苦手です。そこで、知らないところを楽しめて、苦しくない「お散歩」が日課になりました。運動効果を高めるため、心拍数を上げる早歩きです。雨の降っていない夜、盛岡のヒストリカルエリアを、ものすごいスピードで闊歩する大柄の男(少し猫背)を見かけたら、それは僕かもしれません。。。 考えてみると、盛岡に来て9年も経つのに、病院、自宅、駅、現在の繁華街(大通・菜園)、郊外の大型店以外に足を伸ばしませんでした。会話に出てくる町名や店前も、限られた地域しかわからない。。。盛岡の人は、場所をシェアするのに「××橋」のわき、みたいな言い方をするのですが(盛岡の人の地理感覚はどうやら「橋」が中心みたいです)、そもそも橋の名前がわからない。それが一転、夜の「お散歩」を小一時間続けるには、それなりに遠くまで歩く必要があり、当然どこかの橋を渡ることになり、自分の盛岡の地図が大きく書き換えられていきました。そして、今まで空白だった地図に、素晴らしい場所がたくさんあることを再発見したのです。 [...]
もりグルマン その①
この部屋の初稿で書いたヨーグルトの話題が意外に好評で、次はグルメもの、とリクエストがありました。そこで「もりグルマン」と名付け、いわてのおいしいもの(あくまでも私感)をご紹介するシリーズものを展開しようかと思います。いわば、私家版・盛岡のビブグルマン、です。 最初の特集は盛岡人(モリオカン)もきっとそうだと気付いていない、レベルの高い「男飯」を取り上げたいと思います。 [...]
ロゴ
講座再編、病院移転という大きな組織改変が済み、ホームページをリニューアルするタイミングでしたので、「教室のロゴ」を作ろう、ということになりました。白衣やTシャツにプリントできるようなシンプルなデザイン、が担当に抜擢したS君への依頼でした。彼は劇団での俳優経験があり、そのセンスと人脈を期待しました。S君を中心に、いわてのシンボルって何だろう、ということになり、やはり「あれ」だけは絶対外せない、というのです。啄木さんに「ふるさとの山」と謳われ、岩手医大のロゴにも、かつて我々のホームページにも使わせて頂いてきた、そう「岩手山」です。 でも、ちょっと待てよ。いわてに所縁がない方、岩手山をご存じですか?津軽の岩木山は「帰って来〜いよ〜♫」、会津磐梯山は「宝のお山〜よ♪」と誰もが口ずさめるし、蔵王や鳥海山の名は必ず耳にするはずです。周囲の県には名山とのカップリングしたイメージがあるのに、いわてにおける「岩手山」は、名前のインパクトに乏しいのか、県民の主張が控えめすぎたのか、そこまで知られていないのではないでしょうか?僕は知りませんでした。 [...]
ヌオ−ブォ・チネマ・パラディーゾ
いわてや盛岡の食、土地・歴史、人についてお話をしてきました。今回は、最近はまっているマイブームの中から、1つご紹介しましょう。外国語を話せるのっていいなあと、誰しも思ったことがあると思いますが、一向に上手くならない英語も、仕事レベルならそれなりに何とかなるので、今さら上達のために頑張って勉強したいとさっぱり思えなくなりました。 人生の中間点を明らかに超え、仕事のための語学では無く、今後の人生を楽しむための語学をもう一つ習っておきたい、という奥底から渇望するような欲求が出てきて、ぼちぼちイタリア語の勉強をしています。そこそこ料理をし、ホームパーティーで振る舞ったりするのですが、イタリア料理っぽいものが自然と多くなるのも、きっと関係していると思います。盛岡には語学学校もないので、NHKのテレビやラジオを教材に、細々と進めています。ラテン語派生の言葉で文法をかっちりやろうとすると非常に難しいのですが、読み方だけは母音で終わり、日本人が発音しやすい。日本で外国語表記にローマ字を普及させたのはとっても理に適っています。 [...]
クラクション
交差点で止まっていて、青信号になっても一向に前の車が発進しない、併走していた車が突然自分の進路に出てくる、こんな時に皆さんはどうしますか?せっかちな自分は前者なら、軽くぷっと、後者では強く長くクラクションで威嚇?してしまうと思います。いわてに来たのは震災の年でそれから9年近く経ちますが、未だに驚くのは、他人にクラクションを鳴らされたことが一度もないことです。自分は直ぐに車線を変えて決して運転マナーが良い方ではありませんし、信号待ちでついついボオッとしがちですが、自分には我慢できないことが、いわてのドライバーには普通にできるんです。きっと命に関わることにでもならない限り、クラクションを鳴らさないのではないかと思います。 想像するに、「自分のことは少しずつ我慢する」「ひとが不快に感じることはしない」「ちょっと焦っても仕方ない」を、いわての人はとっても大切にし、それらが習慣化しているのだと思います。こうした人の良さ、マナーの良さ、言ってしまえば民度の高さについては、私のように外から来た者は口を揃えて日本一だと言います。街に落ちているゴミが極端に少なく、いつも綺麗です。ぽいっと、道路にものを棄てないのでしょう。極寒にさらされたDNAは、助け合わなければ生きていくことすら困難な歴史のなかで、このように醸成されていったのかもしれません。 [...]
不来方の地名
地方都市に住むのは盛岡、いにしえの不来方(こずかた)、が2度目です。 前回の岐阜の時もそうだけど、その町固有の文化や歴史に根ざした地名があって、あれこれ思い巡らすと中々面白い。盛岡は南部さんのお城を中心にそんな地名が広がります。現在使われているものでも、内丸、材木町、肴(さかな)町、鉈(なた)屋町、紺屋町、馬場町、八幡町、旧町名には、鍛冶町、紙町に穀町、居住者の生業を連想させます。 [...]