「心血管インターベンション治療学会専門医5名、認定医16名の常勤医を擁する専門集団(2022年7月時点)」 「最新の検査機器を駆使した的確な診断(冠動脈CT、FFR-CTなど)」 「急性心筋梗塞のPCIまでの時間の圧倒的な短縮(国内最短クラス・救命に直結)」 「IVUS,OCTの血管内画像を駆使、あらゆる治療機器を配備し複雑PCIに対応」 「症例数日本一のロボットPCI(2020年4月時点)
「国内の臨床研究をリード(多くの多施設試験を主導)」

虚血性心疾患とは

虚血性心疾患とは、冠動脈という心臓の筋肉(心筋)に必要な酸素や栄養を送る血管が、動脈硬化の進展により狭窄・閉塞して血流が低下し心筋が血液不足(虚血)に陥る病気の総称です。 心筋虚血によって胸痛などの症状が出現し、場合によっては心筋の壊死を引き起こし、心臓突然死など生命にかかわる重大な病気です。 虚血性心疾患は、①数ヶ月以上にわたり胸痛などの症状が安定して経過している安定狭心症、②冠動脈が急速に狭窄・閉塞し、心筋虚血の急激な進行により短時間のうちに状態が急変する恐れがある急性冠症候群(不安定狭心症/急性心筋梗塞)、③症状の自覚はないが虚血が頻繁に起きているもの(無症候性心筋虚血)に大別されます。

検査

安定狭心症・無症候性心筋虚血の場合

症状の聴取と安静時心電図が検査の基本になります。運動や薬物による負荷心電図や心筋シンチグラムで虚血の有無を判定します。近年、冠動脈CTの普及により、安全に冠動脈の形態を評価できるようになりました(図1)。 また、疑わしい狭窄病変がある場合は、FFR-CT検査を追加することで狭窄部位が虚血の原因になっているかを調べることができます(図2)。 最終的には特殊な細い管(カテーテル)を体内に挿入して、冠動脈を造影する心臓カテーテル検査(冠動脈造影)で狭窄を確認し診断します(図3)。

図1:冠動脈CT

図2:FFR-CT

図3:冠動脈造影

急性冠症候群の場合

症状の聴取、心電図、心臓超音波、採血(血清トロポニン値)で速やかに診断します。生命の危険が迫っているため、大多数で、緊急で心臓カテーテル検査を必要とします。 詳細は、急性心筋梗塞.comをご参照下さい。 http://急性心筋梗塞.com/about/

治療

薬物療法として血液の流れをよくする抗血小板薬の使用、また高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙などが誘因であり、これらへの内服薬や生活習慣の改善が必要です。 手術治療として、血液不足(心筋虚血)を解除するため、 ①内科的にカテーテルを用い冠動脈の狭窄・閉塞を広げる経皮的冠動脈形成術(PCI)、多くの症例でカテーテルを用います ②外科的な冠動脈バイパス手術(CABG)の血行再建手術が状態により選択されます。 特に虚血性心疾患のなかでも急性冠症候群は生命にかかわる危険性があるため、救急対応が必要とされます。 緊急心臓カテーテル検査で冠動脈病変を評価し、PCI治療などで冠動脈の血流を速やかに改善させることが重要です。 PCIについての詳細は、こちらをご覧ください。 http://急性心筋梗塞.com/pci/ また、当院では2019年に東日本で初めて心臓・中心循環系用カテーテル操作装置「CorPath GRXシステム®」を導入し、ロボット支援下PCI(ロボットPCI)を実施しています(図4)。 1mm単位の正確な手技が可能となり、将来の遠隔医療への応用が期待されています。

図4:ロボットPCI

治療実績

当院でのPCIの年間治療数は、岩手県では最多、東北全体でもトップクラスです。 また、国内の大学病院の中でもトップクラスです。 ロボットPCIの治療数は2020年3月に国内最多となりました。 当院は国内で使用しうるほぼ全ての治療器具を駆使してPCI治療をしています。 高度石灰化病変に対する特殊なカテーテル治療であるロータブレーター(図5)やダイヤモンドバック(図6)、方向性冠動脈粥腫切除術(DCA)(図7)という血管内部にできた粥腫(プラーク)を鉋のようなデバイスを用いて直接削り取る治療、血管内超音波(IVUS)や最新の血管内イメージング機器の光干渉断層撮影(OCT/OFDI)を用いたイメージングガイドの治療(図8)、プレッシャーワイヤーをはじめとする、ほぼ全ての治療器具を駆使して患者様の治療に当たります。 こうした器具を使いこなすことで、長期成績に差が出ることが知られています。 丁寧な治療・手技にこだわっています。 また心原性ショック患者に対しては、Impella(インペラ)という最新の補助循環装置(図9)を用いています。 この機器についても国内有数の使用経験を有します。

図5:ローターブレーダー

図6:ダイヤモンドバック

図7:方向性冠動脈粥腫切除術(DCA)

図8:光干渉断層撮影(OCT/OFDI)

図9:補助循環装置インペラ(Impella)

【実績】

PCI診療実績年次件数

急性心筋梗塞症(AMI)診療実績 年次収容数および死亡率

メッセージ

当院では、専門的な診断・治療を通じ、高度なカテーテル治療を提供しています。 特に緊急症例については、24時間365日体制で迅速なカテーテル検査、緊急手術を行っています。 急性冠症候群では冠動脈が完全閉塞、血流途絶して1時間を過ぎると、血流再開(再灌流)が15分間遅れるごとに死亡率が上昇します。 発症から再灌流までを2時間以内にすることが重要とされており、いかに閉塞時間を短くできるかが予後改善につながります。 当院では、ST上昇型急性心筋梗塞で予後改善につながるひとつの目安である病院到着から再灌流までの時間Door-to-balloon time(DTBT)を日本一短くすることを目標とし、迅速な救急診療にあたっています(2019年度下半期 平均49分)。 また、心臓外科との連携も密に行い、ハートチームカンファランス(図10)で患者様ごとの最良の治療法を検討します。 患者様の予後を考えた場合、カテーテル治療に必要以上にこだわるより、バイパス手術を選択した方が良い場合がありますが、心臓外科とのコミュニケーションがとれていない施設ほど、カテーテルで無理をしすぎる傾向もあります。 あくまでも患者様の希望を優先しますが、プロの目で推奨される治療法をお伝えすることを大切にしています。

図10:ハートチームカンファランス