肺動脈性肺高血圧(肺高血圧)とは

肺動脈性肺高血圧(pulmonary arterial hypertension: PAH)とは、心臓から肺に血液を送る血管(肺動脈)の末梢の小動脈の内腔が狭くなって血液が通りにくくなり、肺動脈の血圧(肺動脈圧)が高くなる病気です。症状としては動悸や息切れ、倦怠感から呼吸困難、めまい、失神、浮腫など様々なものがあります。肺動脈に血液を送る右心室は高い圧力に耐えられるようにできていないため、肺動脈圧の高い状態が続くと機能が低下し(右心不全)、死に至る事もあります。PAHの分類としては原因不明の特発性や遺伝性、膠原病に伴うPAH、呼吸器疾患に伴うPAH、慢性肺血栓塞栓症に伴うPAHなどがありますが、いずれの原因でも症状は同じです。

PAHの診断

PAHの初期診断は胸部レントゲン、心電図、採血、心臓超音波検査、胸部CTなどで、外来で可能な検査です。ただし肺動脈圧を正確に測定するには心臓カテーテル検査を入院で行う必要があります。

心エコー検査(肺高血により右室拡大、左室圧排がみられる)

スワンガンツカテーテル

PAHの治療

PAHには最近まで有効な治療薬が少なく、長い間症状に悩まされながらみなさん生活をせざるを得ませんでした。ところが最近になっていくつかの新しい薬が相次いで開発され、治療効果が上がるようになってきました。治療を始めるにあたっては、その患者さん個人と病状に一番合った方法を選ぶ必要があります。

特発性/遺伝性PAH
血管拡張薬投与、酸素吸入などが一般的です。病状が進行した場合は右心不全の治療(抗凝固薬、利尿薬、強心薬)が行われます。

膠原病に伴うPAH
特発性/遺伝性に準じて治療を行いますが、膠原病の病状をステロイドなどの免疫抑制剤により改善させることで、肺動脈圧が低下することが知られています。

慢性血栓性PAH
特発性/遺伝性に準じて治療を行います。末梢型の慢性血栓性PAHは、局所麻酔下で行うカテーテル手術を繰り返すことで肺動脈圧の改善が得られます。

心エコー検査(肺高血により右室拡大、左室圧排がみられる)

カテーテル治療前

バルーンによる拡張

カテーテル治療後

肺高血圧治療チーム・メンバー紹介

リーダー:石田