概要

診断法や治療法および手術方法の進歩により、小児期からの多くが成人を迎えることが可能となり、成人先天性心疾患(adult congenital heart disease: ACHD)の患者さんの数は年々増加しています。わが国では現在50万人近くのACHDの患者さんがおり、毎年約10000人近く増加するといわれています。この数は年間の急性心筋梗塞の発症数とほぼ同数です。

小児期に手術方法が未発達、診断の遅れなどのより非手術のまま成人に達したアイゼンメンジャー症候群やチアノーゼ性心疾患は少なくはなっているものの存在しており、また手術を受けた後の遺残病変や続発症を認めている中等度から重度の成人先天性心疾患は30%を占めるといわれており治療の対象となります。

特徴

代表的な疾患としてのファロー四徴症は、術後遠隔期に肺動脈弁逆流による右心不全や不整脈が認められることが多く再手術が必要となります。また、完全大血管転位症は術式(心房内血流転換術、大血管転換術)の違いによる遠隔期合併症(難治性不整脈や心不全、大動脈拡張を伴う大動脈弁機能不全)が生じることが多く、治療が必要となります。修正大血管転位症は加齢とともに症状が発現する心疾患で、房室ブロックの不整脈や体心室機能低下、三尖弁閉鎖不全の増悪にともなう心不全を認めます。また、単心室形態へのフォンタン手術を行った成人患者さんも年々増加してきており、心臓・肺のほかに肝臓を含めた諸臓器の管理も必要になってきています。

 

他にも多くの先天性心疾患がありますがそれぞれの疾患に特有の問題があります。先天性心疾患をお持ちの患者さんへのわかりやすい説明、治療をいたします。また、妊娠や出産および社会保障等などの社会心理的な内容ついてもご相談ください。

 

外来担当医

高橋信、上田寛修 (毎週 月曜・火曜日) お気軽にお問い合わせください。